気まぐれコラム 第120回 ('07,2,24)



 今回のクルマはホンダのクロスロードです。

 以前、ホンダが、ランドローバーディスカバリーのOEMモデルをこの名で販売していたことを憶えている人がどれくらいいるか分かりませんが、とにかく私にとっては懐かしい名前の復活です。ポジションとしては、途絶えていたHR−Vの後継モデルということになり、いよいよ国産でもクロスオーバーが本格的なボリュームゾーンを築くことになるのかどうかの試金石にもなり得るこのクルマについて今回は見ていくことにしましょう。

 まず外観からですが、ひと目でタフなSUVを連想させるような四角い造形で、そのロー&ワイドなシルエットはミニハマーといった印象です。でも、そのライン・面処理はモダンで、なかなかイケていると思いました。一方、サイドなんかに、ちょっとキューブの影響が見られたり、フロントのデザインが、もうチョッと個性的だったらなという気もしたりしましたが、全体のまとまりは決して悪くありません。
 各部の造り・建付け等もベースとなったストリーム譲りで、欧州車並みにガッシリしたものです。

 また、内装は、奇をてらったところがなく、手堅くまとめてきたなという印象で高品質です。操作系も使いやすくレイアウトされていますし、何と言っても、ステアリングがテレスコピック可能なのが最近のホンダ車の良いところです。
 各シートの作り・座り心地は、1,2列目に関しては文句なしですが、3列目はあくまでもエマージェンシー用と割り切ったほうが良さそうです。
 シートアレンジとラゲッジスペースの使い勝手も、この手のクルマとしてのツボは押さえてあり、多くのユーザーから不満は出ないでしょう。

 試乗しました。SU-LEV、i-VTEC 2リッター4気筒16バルブSOHCエンジンに5速ATを組み合わせた20Xというモデル(AWD)です。
 このクルマ、走り出してしまえば全く普通の乗用車という感覚で運転出来ます。違う点は、視点が高く見晴らしが良いのと、SUVっぽいスクエアなボディーデザインのおかげで、前後左右の見切りに優れるということなど、良い事ばかりです。また、車重がストリームより約100kg重くなるものの、AWDでも1500kgに留まっているため、身のこなしは驚くほど軽いのが特徴です。
 でもそれが災いして、2名乗車くらいの低負荷時には、サスペンションが跳ね気味で、乗り心地はお世辞にもしなやかとはいえなかったのが残念でした。この点はストリームと同じですね・・・・
 その他、静粛性、ブレーキ性能、小回りの効きなどに全く問題はありませんし、とにかく見切りが良いので、3ナンバーボディー(全幅1755mm)の使い辛さもさほど感じなくて済むのではないでしょうか。

 総評です。
 クロスオーバーの国際的流行に敏感に反応し、ストリームベースで急ごしらえしたにしては良くできたクルマだと思います。AWDシステムも既存システムの使いまわしですが、オンロード主体で「四駆は保険」と割り切るならこれで充分でしょう。それでいながら、最低地上高が185mmだったり、タフネスを主張するスタイリングだったりと、美味しいところはしっかり押さえてあるというのが、まさに新世代クロスオーバーの証なのです。
 家族で乗ったり、常に荷物を多く積むといった使い方をするユーザーには、目先が変わっていて楽しいクルマだと思います。オススメですよ。


 
  



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