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今回のクルマはダイハツのムーブです。
軽ミニバンとしてスズキワゴンRと人気を二分するダイハツのトップセラー、ムーブですが、軽販売台数ナンバーワンの座を奪取すべくこの4代目では相当力の入ったフルモデルチェンジをしたということなので、今回は期待を持って見ていくことにしましょう。
まず外観からですが、先代までの直線的なスタイルから曲線を生かした随分丸みのあるものに変化したように思います。印象としては、フロントまわりが初代モデル風、サイドが先に発売されたソニカを縦に延ばしたような感じですが、まとまりは悪くありません。
また、新たにグリップ式のドアハンドルが採用されるなどクオリティー感の向上も目覚しいものがあり、実際、各部の造り・建付け等もしっかりしています。
内装も見た目の品質向上は目覚しく、もはや軽自動車だから････という引け目を感じることはないレベルに到達しています。特にシースルータイプのメーターフードは斬新な印象で好感が持てます。センターメーター、インパネシフトもこなれたもので使い勝手に問題はありません。
一方、各シートの造りには多少不満があります。まずシートリフターやチルトステアリングなどのアジャスタブル機構がすべてオプションなので、標準仕様ではポジション調整に限界があること。フロントシート座面がプアで底付き感があること。後席スライド機構の建付けが悪いことなどです。あろうことか、私が見た展示車のムーブカスタムの後席は早くも壊れていました････(^_^;)
ただ、室内空間に関しては文字通り驚くほど広く、後席を後ろに下げた状態では大型リムジンを凌ぐほどのスペースを得ています。ドア側肘まわりの余裕も充分で、これには軽としては限界ともいえる2490mmのホイールベースと2110mmの室内長、1350mmの室内幅、フラットなフロア等々が功を奏しており、ライバルに大きく差をつけているポイントといえます。
ラゲッジルームも後席がダイブダウンするため、低くフラットな荷室面を得ることが出来、充分満足できるものです。
試乗しました。
SU-LEV可変バルブタイミング機構付660cc3気筒DOHCエンジンに4速ATを組み合わせたムーブＸ、U-LEV 660cc3気筒DOHCターボエンジンにCVTを組み合わせたムーブカスタムRSの２台です。
結論から言って、両車はまるで別次元の乗り物でした。ムーブＸの方は「The 軽」とでも言いたくなる様な生活に密着したゲタ代わりという印象、ムーブカスタムRSは1.5リッタークラスの並居る国産コンパクトの中に混じっても一頭地を抜く高性能とトータルバランスを持ったプレミアムミニバンという印象で、これは価格差を如実に反映したものと言えます。
エンジン音も、ノーマルエンジンのムーブはスタート時に軽らしく盛大な唸り音を上げるのに対し、ターボエンジン搭載のムーブカスタムは大排気量プレミアムカーと見紛うばかりの静かさで驚かされます。ただし、ムーブの4ATは新設計というだけのことはあり非常にスムーズなので、トップギアに入ってしまえばエンジン音はごく静かで気にならないレベルに収まります。エンジンフィーリングそのものはどちらもフレキシブルで気持ちよく回り、ダイハツの良さは健在でした。
乗り味は両車ともしなやかさ重視の欧州車風味付けで好印象。特に軽初の16インチという大径扁平タイヤを履くRSは、ローダウンサス・前後スタビライザーで武装しているにもかかわらず、ゴツついた印象が全く無かったのは見事といえるでしょう。
その他、電動パワステの出来、ブレーキの効き、前後左右の見切り、小回り性能などもすべて良好でした。
総評です。
パッケージングに関しては文句無しに軽の頂点に立つものといえるでしょう。となると、あとの課題はノーマルエンジンのノイズ抑制とクオリティーコントロールの徹底による「クルマ全体の熟成」ということに尽きます。
それらが成された時、軽販売台数ナンバーワンの座は自ずとダイハツのものとなるに違いありません。
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