気まぐれコラム　第27回　（'01,12,17）

今回のクルマはダイハツのMAXです。 　このクルマも前回取り上げた三菱のeKワゴンと同じコンセプトで生まれたクルマだと思います。車高も1550mmで立体駐車場が使えるというものです。実際これくらいの寸法のクルマが日本国内で使うには一番都合がよいと私は考えます。 　またダイハツは最近トヨタとの関係をより深め、特にエンジン開発においては見るべきものが多いのです。トヨタのヴィッツのエンジンも実はダイハツが開発していたりするので、MAXにも期待出来そうな予感がありました。 　それでは具体的に見ていきましょう。まず外観からですが、これはいただけません。eKワゴンとは正反対です。アルファロメオを真似ているのがありありと見て取れます。リアの造形などは全くと言っていいほど同じで、ひねりも消化もあったものではありません。四角いシルエットにこのアルファスタイルはまったく合わないのです。これだけで私は購入しようという気がなくなってしまいます。 　しかしドアを開けてみてその建て付けの良さにはびっくりしました。本当に最近の軽は造りが良くなったと思います。各部を見ても造りの良さは歴然で、その点では三菱とは比較にならないものです。これなら普通車と同じような気持ちで乗れそうだなと思いました。 　乗り込んでみます。するとまず目に入るインパネのデザインがこれまたアルファロメオなのです。よほどこのクルマのデザイナーはアルファに憧れていたのでしょうか。しかしそんなこともすぐに吹っ飛びます。造りが半端でなく良いのです。使っている素材、組み付け精度など、どれをとっても軽のレベルを超えています。ドアの内張なども適度な弾力性のある素材で出来ていたりして、恐れずに言うならヴィッツよりインテリアの造りは良いと思うほどです。上級グレードではインパネシフトのゲートがスタッカート式のしっかりした造りのものだったりするのも好印象に拍車をかけます。またオーディオの2DINスペースがセンター最上部に確保されているのもグッドです。 　ただシートの造りはそれほどではありません。特に後席のクッションの貧弱さなどはeKワゴンより劣るレベルのものです。長時間のドライブではどうかなという気がします。しかし室内スペースの点では最新設計のクルマらしく広々としているので問題はないでしょう。 　試乗してみました。2WDのRSというモデルに乗りました。これは四気筒DOHCのターボエンジンに4速ATが付いた最上級のものです。 　走り出しからスムーズです。エンジン音も軽としては静かで、さすがに四気筒だと納得します。それにシーケンシャルモードまで付いた4速ATの出来も上々です。これなら1.5リッターくらいの普通車と充分互角に渡り合えると思いました。ただこのモデルは165/50/15という扁平率の高いタイヤを履いているせいで若干突き上げも感じました。しかし走りのトータルバランスは大変優れていて、それこそ胸のすく走りという感じのものでした。特に背の高さを感じさせない安定感のある感じのサスセッティングはトヨタ車にも通じるものです。これには脱帽という以外ありません。 　さて総論です。ぶっちゃけた話、ハード面では現状の軽自動車中ベストでしょう。オプションですがサイドエアバッグやESPまで選べるというのも先見性を感じさせます。別グレードには三気筒ターボや可変バルブタイミングのエンジン、さらにCVTの仕様まであるなど、このメーカーの実力は心底たいしたものだと思います。 　私はかつてこのメーカーの軽に乗っていましたが、その頃からエンジンの出来は抜きん出たものでした。そもそもダイハツという名は大阪発動機から来ているということを最近の人がどれくらい知っているか････。 　それにしてもデザインがきつい。この冗談には笑えません。さらに最上級モデルの価格ならホンダのフィットなども買えます。軽にこだわる必要がないならどうかなとも思います。このような矛盾点を含んでいるのがまた軽自動車の現状だといえるでしょう。