気まぐれコラム 第15回 ('01,9,24)



 今回のクルマはトヨタのイプサムです。

 このクルマは日本ではホンダのオデッセイの対抗馬として、ヨーロッパでは人気のミニバン市場を狙う目的で企画されたものです。ちなみにヨーロッパではアベンシスという名ですでにデビューしています。
 しかし、どうやらこの新しいイプサムは日本よりむしろヨーロッパを主眼に開発されたようです。先代のイプサムは5ナンバーの枠内でエンジン排気量も2リッター以下でしたが、今回はサイズも幅が1.76mと3ナンバー枠となりエンジン排気量は2.4リッターとなりました。日本で使うにはちょっと持て余すサイズですが、ライバルも皆3ナンバーとなった今では、これがスタンダードサイズとなってしまうのでしょうか。

 実際に見ていきましょう。装備は嬉しいことにヨーロッパスタンダードに準じていて、最上級機種ではサイド、カーテンシールドエアバッグやディスチャージヘッドランプなどが標準。さらにESPやイモビライザーもオプション設定があるなど、本当に必要な装備が揃うという点で、現行の日本車の中では最も進んでいるといえるでしょう。また車両設計という点でもこのクルマは進んでおり、2WDならフル装備でも1.5トン未満で収まるというのも特筆すべきものだと思います。
 内装も250万円前後の価格に見合った、いや、それ以上の上質さを備えています。木目やメタルの使い方もセンス良く、トヨタは自分のポジションをよくわかっていると思います。先代もそうでしたが、このクルマもシートの出来が良く、その点でもヨーロッパ車的な感じを抱きます。個人的には外装が白でGセレクションのインテリアが好みです。

 試乗してみました。240U "G Selection"の2WDに乗りました。
 走り出してすぐ、このクルマは剛性が高いな、とわかります。カッチリした乗り味です。ボディーの大きさから来るワナワナした感じは全くありません。このクルマにはTEMSという電子制御サスペンションが付いていましたが、元々の素性が良いためその効果はわかりづらいものです。さらに、取り回しは思っていたより良く、ボディーの大きさの割には運転しやすく感じました。
 そして、エンジンとATの相性もそつなくまとまっていて安心できるものです。ただ、シフトレバーの位置はスパシオのようなインパネシフトの方が使い易いと思います。もっと理想をいうなら5速ATのスタッカートゲートにして、ステアシフトマチックをやめればベストだと思うのですが。
 またDVDナビのモニター位置も見やすく、バックガイドモニターやブラインドコーナーモニターも有用な装備だと思いました。

 最後に総評です。月並みですが、このイプサムは誰にでも安心して奨められるクルマです。また、それこそがトヨタの目指しているクルマ造りなのです。今回は外装デザインのことにはいっさい触れませんでしたが、このクルマはそういう次元で語るべきクルマではないと思ったからなのです。そういう点ではメルセデスやフォルクスワーゲンに近いコンセプトを感じさせます。
 趣味性よりも実用性やこのサイズのクルマに必要性があるなどの点を重視するなら、このクルマでしょう。

 とはいうものの、クルマはそれだけでは売れないというのが難しく、また面白い点ではあるのですが・・・・。


 
  



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